他人との距離の取り方が判らなくなったのはいつだったろうか。

あれは確か夏のさなか。
仕事仲間以外にこれと言って特定個人との関わりを持てなかった自分の前に、
例外をもたらしていた知人がいつものようにフラリと現れて音を楽しめ等と宣った時から。
あの嵐の夜に妙に肝の座った一般人を一人、仕事に巻き込んでしまった時から。

確かに目に見えていた己のスタンスは煙宜しくすっかり消えてしまって俺は随分焦ったと思う。
初めてのことが多すぎて、あの器用なお人好しを知らぬ間に結構傷つけたんだろう。

季節は幾つか巡って、知人は悪友に他人は恋人になった。

何度目かの冬を迎えた。
今じゃすっかり慣れ親しんでしまって、決して手に入りはしないと思い込んでいた平穏な日常を俺は手に入れた。
見失っていたものは重みを増して戻って来たが、不安定な時期も過ぎて少々ばかりの覚悟も決まった。
可愛い娘には依頼をされるし、何だか毎日楽しい。よく笑う。

今更ながらに今度本気で愛していると言ってみようか。
直情型のあいつは果たして泣くか笑うかはたまた怒るか。
酷く癪だが悪友にも礼を言わねばなるまい。

見えてきたのものは最初からそこにあったもので、
俺の変化を例えるならそれはきっと調光のよう。見方も位置も形も変わらずに。

目が悪くなる程暗い場所も、
輪郭がぼやけるくらい明るい場所も、
今なら全部引き受けてやれる。







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Kマコ+神。
ジャンクにするかKマコカテゴリに入れるか迷った…。
過去の裏日記にこっそりupしてたのを持ってきてみた。

041223


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