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あ、起きた、と思うと同時にするりと伸ばした腕の中で何かが動く気配を感じ、それが彼だと気付くのには流石にそれ程時間はかからなかった。
ただ自分より先に彼が起きているのは本当にまれなので、ちょっとした起き抜けの鈍さを装ってしっかりとじっとしていると、
肩から首、顔へと移動する視線をはっきりと感じアッシュはもう目を開けることができなくなってしまった。
覗き込まれていると思うと鼻先に香る汗と薔薇の匂いにすらもう噴出すかむせるかしてしまいそうなのをぐっと堪えていた。
ベッドを降りるのか、彼が動かした背からわき腹にかけての一番しなやかな部分がふと触れて、
自分の体温が押し込められていた布団に一緒にくるまっていたそれの少し汗ばんだ滑らかさに、
てのひらは思わずなでるように感触を追ってしまう。
ビクリと体を引かれてから直後にしまった!と思ったがもう遅い、狸寝入りがばれて朝からここぞとばかりに怒られる!と、
した覚悟に反して何も言って来ないので恐る恐る開けた薄目が緑の長い前髪越しに確認したのは、
昨夜自分が咲かせた赤い華をそこかしこに散りばめた白く薄い胸板のどアップで、
最早これ以上見ているのは絶対に不可能と、条件反射で寝返りをうって目を背けた。
これでは役得どころか目の毒以外の何物でもない。
ユーリが自分を跨ぎ越して床に素足をついたぺたりという音を確かに拾い聞くと再び寝返りをうち、
背に続く、布の擦れる微かな音と細い髪の揺れる柔らかな音とを聞いた。
あまり神経を集中させると他称チャームポイントの獣耳が動いてしまうものだから、もうヤケになって二度寝でも何でもいいからじっとすることに心を注いだ。
しかし勿論そんなに都合よく済むはずも無く、服を着終えたらしいユーリの視線を再び背中に感じ、
今度は何スか!とぎゅっと目を瞑ったと同時にふわりと近付いた彼の温もりと匂いとそれに柔らかい唇が自分の頬に触れたような感触。
今度こそもう堪えきれずにバチリと目を開けると、スタスタと彼が部屋を出て行く足音とバタムと扉の閉まる音が響く。
ブレス無し。 05.10.02 Textに戻る |