一晩中伸ばしっぱなしだった腕に触れたものをとりあえず引き寄せて確かめると、 それは大人しく腕の中に収まりぷすーと平和な寝息をひとつたてた。何だよその寝息は。 緩む口元を感じながらMr.KKはああそうだ今日は休みだからこいつを泊めたんだったかと覚醒した頭の中で独りごちた。 いつも通りまだ一般には早朝と呼ばれる時間でサイドテーブルの時計を見やるとデジタル表示は05:02。 短い眠りの終わりを告げた日常に安堵すると勝手にマコトの髪をかきまわしていた手をするりと頬へ下ろし顎をなぞり指先で耳に触れた。 表情にも体温にもおかしな所は無く、ただむにゃむにゃとうざがられるので寝返りをうたれる前に素早くキスをした。 何に満足したのかにんまりとだらしなく笑う口元を見て相手が未だ夢の中にいるのか、それとも狸寝入りなのか、ふと考えた。 裏の裏まで考える余裕があるかお前ぇに?
 随分と長い間触るでもなく起こすでもなく眺めて眺めて、「穴の開くほど」ってのはこういうことかと、 昔習った日本語を思い出す程長い間眺めて、耳の痛くなるような沈黙に消えるか消えないかの寝息の音を聞いていた。 は、と気付いてそっと体を離して窓を見た。白く薄い光が世界の始まりを静かに示す、カーテンに遮られたその様を。 キシリとも鳴らさせないベッドを抜け出しやや濃い目の肌が毛布の中に置き去りされていることを確認するとKKは部屋を抜け出した。 暫らくの間のバスルームの物音を、気配のなくなった気配で目を覚ましたマコトが聞く。 寝惚け眼と欠伸としなやかに伸びた腕の先に触れたシーツは確かに未だ温もりを持っていた。




ブレス無し。KマコVer.
05.10.02

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