携帯電話の着信履歴のメモリー30件を何とは無しに眺めていると、 ふと、少し前までその中に必ず入っていた番号が見当たらない。
「ねー最近神様見かけないけど、Kぇ連絡とってる?」
「知らんアイツのことなんざ。」
「ぁ、妬いてる〜?でもねー大切なんだよ、ホントさ、」
「…「相手にしたくねぇ奴リスト」にゃ載ってるぞ既に。しかも今順位上がった。」
「神様が?相手して欲しいリストじゃなくて?」
「そーいうところがな…面倒事持ち込むだけじゃねぇか。」
「最近…素直だね。いじめたくなるなぁ〜」
「この世には」
「ぅん?」
「、俺の知らないお前ぇを知っている人間が少なくとも二人存在する。神と、お前の弟。」
「あっはは、二人ってことないでしょ。」
図星だろうことを指摘されて取り繕うことも忘れて感動した。 Kの耳の赤さとか。

「とりあえず、この二人は……。」
本当に珍しく消える語尾も、言葉を探して泳ぐ視線も。絡め取って。
「キスして。」
「ん、?」
遠慮なく差し込まれた舌を招いて甘い。 とくとくと血液が頬へ遡る音が響く。

「……これが、Kだけが知ってる俺だよ。」

 笑うと、負けましたとばかりに意外にも手渡されたのは薄い緑色の紙片。
「…何、」
「短冊。」
「あ。」
「当日までにオネガイゴト書いておけって、置いてった。」
「いつ?」
「…ついさっき。」
「Kは何て書いた?」
「まだ書いてねぇ。」
「そっか…何て書こうかなぁ〜♪」

そっかそっか、忙しいんだね、神様だもんね。
耳の奥の方で聴き慣れた童謡を歌う、楽しそうなMZDの声がする。

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神けまこが大好きだ。
05.06.27

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