「なーなー、俺がもし本当にお前のこと好きだっつったら、お前は何て答えてくれるんだ?」

 家主のいないマンションのリビングでゴロゴロと好き放題転がる男が二人。 仰向けに寝転んだまま天井を見てはくだらない話をしていた。  長いこと空けるから時々様子を見てくれと、言われてから毎日来てしまっているオレンジ髪の青年は、やんわりと笑った。 Kぇ、どうしようか、今日は不法侵入者がいたんだけど、ケーサツに突き出す? そんな文面のメールを送ったのがもう数時間前。

 凹み気味の自分を励ますつもりだったのか、はたまたつき合わされただけなのか、 買った酒もツマミも切れて、もう朝の空気が直ぐそこまで来ていた。 正直ここまで起きていられたのはひとえにアルコールが脳を活性化させていたのであって、 そろそろ効果はプツリと切れて今にも眠りに落ちてしまいそうだった。 でもそれを待っていたかのように神は静かに切り出した。 マコトはぎゅぅ、と一息にクッションを抱きしめた。

 「そーだなー、カミサマ、「もし」なんて話しするの珍しいねぇ。」
「酔いに任せて言いたいこと言っちまえ。」
「…神様の薬指にその指輪がある限り俺は何も答えられないよ。外すつもりないでしょうに?」
「ぅ、あー…そうね、そうよね。ゴメンナサイ。」
「素直ー。」
ゴロリ、MZDが寝返りを打ってマコトを見る。
「……なー好きよ。好きだぜマコト、あんなの止めて俺にしときなって?」
「うん、ありがとー。友人として心配してくれる気持ちだけ貰っとく。エヘヘ、んん、何か照れるからそっち向かなくていい?」
「まー聞けや。ん、そのままでイイゼ。何が言いたいかっつーとな?」
「寂しいんでしょ、」
「そーそー。SOなのよ。」
「………不真面目だなあMZD。」
「愛にも色々あるんだって。俺基本が博愛主義だし。…なぁ、キスしていいか?」

 仰向けの顔を逆さまに覗き込むと、溶けたような黒目と寂しい茶目が合う。言うとほとんど同時に噴出したマコト。
「駄目。」
「ぁんだよケチー。減るもんじゃねぇだろー。」
「心が減るのー。」
「うぉお、出た!」
「あーさみしー、もー嫌っ、ヤベー寂しくなってきたじゃん!」

 「…キスするのは駄目でも、キスしてくれるのは良かったりしない?」
「…………う〜ん?」
「ぉ、脈あり?なぁマコト、キスしてー。」
「いやいやいや;それは何か…更に危ない気が…。」
「いいじゃんか〜キスくらい〜。どうせ毎日ちゅっちゅしてんだろ?毎日絶対2回はキスしてんだろ〜。」
「そうなんだよねー、軽いのだったら、ホラ外人さんのノリみたいなの?俺、純日本人だからさ〜慣れるまで大変で…って何言わせんのさ。」
 マコトは思い出して赤面した顔を隠すようにクッションを口に当てる。 それを取り払って引き受けて、代わりにあやすように抱いてやるMZD。取り返そうとマコトもうつぶせになっていた身を起こした。

「いいじゃね〜か、お前ぇばっかんな操たてなくたって、KKなんて無防備なもんだぜ?不公平だーとか思わねぇの?」

 ゴン☆
 体を支えていた腕と頭を支えていた首の力が抜けて、 チャーミングな広めのオデコと上向きの鼻がフローリングと濃厚なキスをした。
「あら、どした?」
「……ねぇ、神様、まさかとは思うけどさ、」
「うん?」
「…KKの無防備さを知ってるかのようなその言い方は…。」
「っぁ〜、キスな、キスの話な?」
「嘘、したの!?いつ!?っつーかいつから!?何回!?」
「随分前に、つーか随分前から?ノリで、何回か。」
珍しくスラスラと正直にまわるMZDの口。
「ぅぅぅうぅぅぅ…。」
力尽きたマコトは床に伸びて嘆いた。泣いた。
「わー泣くな、スマン、そんなにショックだったか!?んじゃー返す!」
「ぶ、」

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無駄に長い!
いつからかタダのキス魔に成り下がってるMZD!!(泣笑)
…ねー、マコ神っていけると思いません?

05.09.10

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