俺はあんたと知り合ってから、泣くことが多くなったような気がするよ。
情緒不安定ってやつ。

暗い暗い秋の夜空にぽっかりと浮かぶ月を見つけて、ああ、今日も会えなかったなぁなんて、一人ぼっちで泣くんだよ。
切れた蛍光灯を取り換えてる時とか、ベッドに入ってから眠るまでの僅かな間とか、部屋に一人で泣くんだよ。
自分でもなんで泣けてくるのかわからないんだ。

俺はあんたの恋人で、たまに相棒で、それでいて部外者なんだもんな。

聞けることは聞くし、教えられないことは教えない。
何処まで踏み込んでいいのか、慎重に慎重に計りながら使い分けてく。
知ってるだろうけどさ、俺、器用だから。

泣いて泣いて、こっそり泣いてるはずが、たまにサイバーに見付かったりして。
オロオロしながら弟は一緒に泣いてくれたり、勝手に怒ってくれたりするよ。
泣くな兄貴ー、とか言って凄く可愛い。

なんでかな、昔は、恋してる時ってフワフワしてて甘ったるくて、相手のことを思うだけで超幸せだったのに。
今も充分幸せなはずなのに、あの、一人きりの時にやって来る、切ない気持ちは何なんだろう。

俺は…あんたが好きで好きで、一緒にいる時間が何よりも大切だって思うから。
本当はね。あんたの側にいるともう全身心臓になったみたいにドキドキするわ顔赤くなるわ汗かくわで大変なんだよ。
これでもかなり平静を装ってるつもり。

そんな、大きな、存在が、
生きているかどうかも判らないっていう状況なのは、ちょっと辛い。

心配いらないってよく言うあんたは、すぐに連絡が途絶えてしまう。

泣いて泣いて、涙で流してしまえ。
俺は、あんたに余計な心配かけない位には器用だし。今はどう考えても部外者だし。

あんたが帰って来たら笑って迎えてやるよ。
だからこんなにも持て余している切なさは、絶対絶対内緒のまま。

泣いて泣いて、
涙と一緒に流してしまえ。

そう、これは秋のもたらすセンチメンタルなんだと言い聞かせて。







Sentimentalism*
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全ては秋のせいだった。
ちょっと凹み気味なマコ兄独白でした。

04.10.03


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