まずはこちらを! 「HIDE AWAY」のよもぎ様のアスユリクリスマスイラスト!

素晴らしいー!素敵なクリスマス!!
…恐れ多くもこちらに付けさせて頂いた文章です。ぅぅ…身の程知らずは百も承知ですよぅ。
イメージ壊されたくない方は読まない方向でよろしくお願いします。
それでもイイゼ読んでやろう、という方のみどぞ。↓













 もう二百回以上無駄にしてきた訳だから、少しは節目の行事というものを大切にしてみるのもいいかもしれない。

 12月24日の午後5時、駅前のクリスマスツリーの前でぬぼっとつっ立っていたまえアッシュ君。
 と、最近読んでいるらしい推理ものの名探偵ばりにユーリが言ったのは、23日も夕方遅くになってからだった。 ちょっと待ってくれッスそれってデートなんスか?ドレスコードは、予算は、俺も考えてたことがあって云々と、 犬が吠えるのを綺麗に無視しながら、ふははははと笑って文字通り天に昇って行ったのは、はてさて照れ隠しだったのだろうか。

 迎えた24日、約束の15分前に指定された駅前の、綺麗に飾られた豪華なクリスマスツリーの前で、はたして忠実な犬は待っていた。 結ばれたリボンの赤と無数に思える球体飾りの金が、深緑色の葉に映えて待ち惚けをしている人々の目を楽しませていた。 浮き足立った街は夜にかけていよいよ混雑を極めていく。
 そんな慣れない人混みで(その中にいるより、そこから一段外れてその注目を浴びることの方には慣れていた)、 あっちへそわそわこっちへそわそわかなり挙動不審な上に長身の、ツンツンした緑の髪に、有名人というにはラフすぎる格好。 しまったなぁ、せめて帽子を被って来ればよかったと、やはり終始そわそわそわそわウロウロウロウロ、その姿はさながら狂犬病だった。
 午後5時ぴったり、ピリリリリと鳴る電話。 ディスプレイの着信表示は待ち人のもので、あり?と思いながら出ると雑音に混じって心地よい声が届く。曰く。
「そっちじゃない、反対の出口のツリーだ馬鹿者!」
一言で電話は切れた。お人好しは何度も人にぶつかりその度必死で謝りながら、駆けて行くしかなかった。

 反対の出口のツリーは、うってかわって大人の雰囲気だった。銀と、青の飾りが誇らしげに輝く。 まるでユーリみたいだと、その馬鹿みたいな思考回路に自分で笑ってしまう。 挙動不審の自覚はあったので加えてにやけ面では怪しさ全開だろうと、顔を引き締めその笑いをかみ殺す。
 これだけ沢山の人がいる街中では流石の人狼の鼻もきくはずがなく、頼りになるのは視力のみだった。 人並みから頭ひとつ分出る長身を活かして、はぐれた仔犬よろしくキョロキョロと見渡した。 視界の端をかすめた姿を一度スルーして、はっと戻す。
 普段の黒いスーツとはうって変わった白いベレー帽に白いコート、背にしたツリーの装飾も負けて見える綺麗な蒼銀髪、 胸にさげた銀色は、今日だけで既に何度も目にしたあのアンチテーゼのモチーフ。
 彼の周りの一切が色あせて、くすんだ色の人混みの中、愛しい人の色だけが目に映る。 アッシュを待って、彼はそこにいた。 それだけの事実が言いようもなく嬉しくて、一瞬ジーンと熱いものがこみ上げてきたのを堪能するように目を閉じて、開ける。 嗚呼、幻じゃない、ユーリが俺を待っている。
「遅れてすまねぇッス!」
「馬鹿犬、」
「だってどっちの出口かなんて、言わなかったじゃねぇッスか!」
「私の目的がどこにあるかなど、少し考えれば判りそうなものを。」
「え……。」
紅い瞳が見つめる先に、目をやった。

 その無数の小さな光。誰もが自然と見上げてしまう眩い光。聖なる夜にふさわしく。
「わ…ぁ!」
 眼前に広がる光の海に、感嘆の声をあげる。 駅前から続く並木道の木という木、街灯という街灯、それだけで足らずワイヤーをアーチ状に渡し、 夢のように暖かな光を、すっかり暮れた夜空に放っていた。 そういえばこの駅の近くに有名なのがあると、テレビか雑誌かでやっているのをユーリが面白そうに見てたっけ。 街道の果てまで続くイルミネーション。
「ユーリ……!」
 たかが電飾、されどロマンティスト達を感動させるに余りあるその光に暫し見とれた。 子供みたいに興奮したアッシュが嬉しそうに振り向いたの見て、ユーリは満足そうに目を細めた。 ややあって、白いコートの腕がカーキのジャケットの腕を取る。 密着するように引っ張られてアッシュが戸惑いの声をあげる。
「ユーリ?!何…、」
「さあ行くぞ。一度このイルミネーションの下を、歩いてみたいと思っていたのだ。」
歌うように台詞を紡ぎあげると、ゴーイングマイウェイな吸血鬼は、べったり狼男に寄り添った。 そういえばこの吸血鬼は何より、人間の真似事が好きなのだ。

「下から見ても綺麗なものだな。」
 上機嫌で歩むユーリを見下ろして、確かに凄く綺麗だけど…とアッシュは心の内で返事をした。 正直、密着されてどきまぎするのに加えて、はたと気付くと周りのカップルのけしからん程のいちゃつき具合は気になるし、 何よりそろそろ他所から自分達へ向けられる視線も痛かった。
「お前がそうやってオロオロしているから目立つんだ。堂々としていればバレやせん。」
「でも…、」
「どうせ互いの相手のことしか見えてないのだから。」
「うぅ……何か変だ…。」
 どんな時でもカリスマヴィジュアルバンドのリーダーたる大胆不敵な神出鬼没っぷりは健在だった。 対する犬の、気恥ずかしさに圧倒されてどうにも落ち着かない様に業を煮やして、腕を強く引っ張った。
「お前、私の恋人なんだろう?!もっとしゃんとしろ!!甥っ子と歩いてるんじゃないんだぞ?」
「は、…はハイっ!!!」
「何を戸惑うことがある。楽しみにしていたんだぞ、私は、」
お前と、ここを歩くのを。

 遠く、幼い頃から馴染んだ賛美歌が聴こえる。ユーリの幼い頃にもこの賛美歌はあっただろうか、そんなことを考える。 歌ひとつとっても自分達は共有することが少なすぎて、 大切な行事をひとつ、一緒に過ごせるなんてこれ以上の幸せは無いに違いない。 ユーリの折角の想いを不意にしてしまわぬよう、アッシュはその想いを胸中でありったけ噛み締める。 素早く触れるか触れないかのキスを耳にして、ごめんと囁いた。 改めて腕を組むと、綺麗ッスねぇえへへなどと、上気した赤い顔を光の海に向けて歩いて行く。

「さて、次はなアッシュ、」
名残惜しげにイルミネーションが途切れるあたりで、腕を離して向き直ってユーリが切り出した。 含んだ笑みで見上げられて、顔に疑問符を浮かべるアッシュ。 不敵な人は、そのまま手を差し伸べて言ったのだった。
「ひと駅先に小さいが品の良い高級レストランがある。 今年のクリスマスイブがオフだと判ると3ヶ月も前からうちの犬がリザーブしておいた席があるのだが…、貴様今夜の予定は? ああ、ちなみに予約の時間は7時だな?」
「んなっ!?な…なんで知って…っ!」
「普段から、上着のガードが甘すぎるのだよアッシュ君。」
「お、俺の手帳見たッスねユーリ!?何てことするんスかあんた、プライバシーの侵害ッス〜っ!!」
敵わないどころでない恋人の、あまりの可愛さにアッシュは開いた口を塞がずわなわなと震えるしかなかった。 この分だと先のデートプランも読まれて筒抜けだろう。

「で、味は保証されてるのだろうな?」
「勿論ッス!、ってユーリ、駅こっち……俺一旦着替えないと、」
「ああ、一度お前を上から下までコーディネートしてみたいと思っていたのだ。変装もかねてな。」
「はぁ!?」
麗しの吸血鬼はどうやらこのまま進む気満々らしい。先ほどからずっと続く上機嫌で笑っている。 そんな予定あったんなら先に言って欲しかったとか一瞬財布の中身を気にしてみたりだとか、 頭の回転を鈍らせたアッシュがもごもご口の中でだけ呟いていると、

「恋人と過ごすクリスマスに、何か不満があるとでも?」

そんな風に下から覗き込まれて、壮絶に微笑まれたら、もう、
「な、ないない、全っ然無い!」
と首と手をぶんぶん振るのみだった。知らず顔が赤くなる。
 今日はずっとこの調子なんだろう、あと何度この状態を味わうのだろうか。 考えて、ふと楽しくなって自然とユーリの手を取った。
 手と手絡めて歩く、幸せなクリスマスはまだ始まったばかり。









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このイラストを拝見して〜アスユリクリスマスデートの話なぞして〜!
よもさまの考えた素敵なデートプラン!
じゃあ是非!私が小説に!みたいな。ノリでした…ええとスミマセンスミマセン。
ほんと、ヘボな想像力とイメージ力で…。

あ、一箇所、よもさまがイラストを飾った下に書いてあった、ユーリの台詞をお借りしました。ふふ。
もし、犬がいつもに輪をかけて情けないようならそのせいだということにしておいて下さい;。
あの台詞がとてもツボったんです実は。気になる方はよもさまの所でご確認下さいv

展示してあるのより大きいサイズを貰ってあろうことかデスクトップ壁紙に設定したりして、
本当にあのイラスト無かったら今年クリスマスこんなに頑張らなかったんじゃなかろうか…。
あらゆる意味でよもぎさんに大感謝でございます!メリークリスマス!!

05.12.24




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