放浪禄***




放浪癖と謂ふものは人との関係においても成立する。

修業に明け暮れた旅から長屋に帰ると、ちやうどムラサキが玄関先で困つた顔を為て立つて居た。
「六、」
ムラサキは拙者の旅姿を確認して、微笑む前に吃驚した顔をする。
「…まあ!」
破れた着物と傘を見て目を丸くし、それから笑ふ。
「…おかえりなさい。」

その後、ムラサキは直ぐ帰つたが、
旅から帰つて一番に会つたのが彼女で良かつたと、お裾分の林檎を齧りながら思ふ。

そう謂へば彼女と話したのは一体幾日振りだつたろうかと、唐突に思ひ出そうとしたが、
それは終に叶ふことはなかつた。







マジスカとDが一緒に入ってるMDをランダム再生すると、こういうお話になっちゃうんですね…。
良い子はこんないい加減な古語を使っちゃ駄目ですよ。
「ゐ」が使えなかったのが心残り…。
050220
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