温かい空気の中でふと目が覚める。いつの間にか眠ってしまったようだ。

紅白歌合戦もいつの間にか佳境を迎えていた(ゆず純真は紅白出演二年目だ)。
絶対観るんだと言って絡みつく腕をほどいてベッドから這い出したのに。
ソファに座ったまま眠ってしまったらしい。かけすぎの暖房のせいで寒くはないが。
むしろ暑いくらいだが。

…設定温度変えたなあいつ。あんまり効きすぎるのも乾燥して良くないんだぞ?

首をめぐらしてエアコンのリモコンを探す。 ソファから立ち上がって、ついでに伸びをして、床に放置してあったリモコンの表示を見て、その極端な温度に苦笑をもらす。
これは俺が眠ってしまったから風邪をひかないようになのか?
設定を元に戻すと込みあげる愛しさをかみ殺す。

熱い。頭が多少ぼんやりする。

「マコトー?起きたのかー?」
台所から声と気配。
リモコンを放り出す。緩む頬をどうしても押さえられない。
「ふへへへへへへ…。」

忍び足で台所に入ると、コトコトくつくつ音がする。醤油ダシのいい匂い。
よしよし、ちゃんとラーメンじゃなくて蕎麦をゆでているな。
「オイ何笑ってんだ?気持ち悪ぃな。」
立ち上る湯気、換気扇の音、広い猫背気味の背中。
「マコト?ソバ食うだろ?」
乾いた喉が求める湿度と、寝ぼけた心が求める愛が、ここにある。ああ何て、

「マコ…っうお!!!!」

ガション、カランカラーン!!

転がるオタマ、飛び散る出汁。

「ビビッた…。」
「あー。もーちょいで後ろから抱きつけたのに。」
「後ろ立つなよ。」
「油断すんなよ。」
「…んだろ。」
「え?」

「いいんだろ、この5日間は油断しても。」






「…そうでした。」
「だべ?ふへへ。」
「やだK、その笑い方キモい。」
「うっせぇ。」

出来上がった蕎麦の器を持って、肩をぶつけ合うように競いながらソファに座って、
「ゆく年くる年」観ながら蕎麦を音たててすすって、
除夜の鐘に合わせてキスでもしようか。

ああ何て、
愛しいんだろう。









「踊る大捜査線」の再放送にやられてしまってます…。
会話中の変な間に影響を受けております…。
というか東京凄い雪ですね…ありえん…。
今日は紅白でゆずを観ます!!(ゆず純真ネタごめんなさいスミマセン反省してません)。


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